DHA課長
100種類以上のDHA・EPAサプリを比較して本当におすすめできるものを検証しました

Genetic engineering. Group of scientists working at the laboratory

DHAとEPAに関する研究は世界中で行われており、健康効果のみならず人間の体における様々なリスク要因に対する作用が期待されています。

その中でも、今回はカナダの政府が助成する機関による研究論文が発表され、DHAは血中脂質のような炎症マーカーにおいて、EPAより効果的であることが示されたということなのでご紹介をします。

この研究論文では心疾患リスクを持つ人を対象とし、DHAとEPAが、炎症マーカー(体内でのアレルギーなどの原因となる物質)の抑制や、血中脂質に対する効果の違いを比較検討する目的で行われたものであるということです。

研究論文の概要

研究結果:

DHAサプリメントはEPAサプリメントに比べて、IL18が大幅に減少(p=0.01,-7.0%±2.8%:-0.5%±3.0%)し、さらにアディポネクチンについては顕著な増加が認められた(p<0.001,3.1%±1.6%:
̠1.2%±1.7%)。

一方、CRP(炎症マーカー)の変化は、DHA(-7.9%±5.0%)に対してEPA(-1.8%±6.5%)、IL-6の変化はDHA(-12.0%±7.0%)に対してEPA(-13.4%±7.0%)、腫瘍壊死因子(tumornecrosis factor-α)はDHA(-14.8%±5.1%)に対しEPA(-7.6%±10.2%)となり、いずれも統計学的な差はなかった。

中性脂肪の変化ではDHAでは-13.3%に対しEPAの-11.9%に比べ、統計学的に顕著な低減が認められた(p=0.005)。HDLコレステロールの変化ではではDHAが7.6%に対し、EPAが-0.7%となり、DHAで顕著なHDLコレステロールの増加を認めた(p<0.0001)。

LDLコレステロールではDHA群で顕著な増加が認められ(P=0.04 )、性別で層別解析すると、男性では顕著な増加が認められたのに対し、女性では統計学的な有意差は認められなかった。

原論文(英語):http://ajcn.nutrition.org/content/104/2/280.full.pdf

非常に小難しい学術用語が並ぶので簡単に注釈解説すると、

IL-18

IFN-γ誘導因子と呼ばれるもので、気管支ぜんそくなどのアレルギー反応の引き金となってことが明らかになってきている物質です。参考:兵庫医科大学免疫学pdf

今回の研究でIL18が大幅に減少したとあり、DHAが抗アレルギー作用を持つとされる期待がさらに高まったといえます。

アディポネクチン

アディポサイトカインの1つで、インスリン抵抗性を改善し、脂肪を燃焼させ、血糖値や中性脂肪値を低下させる働きを持つ。また、血栓予防や動脈硬化予防の作用があり、血管を拡張し血圧の低下にも働くとされている。

中性脂肪を低下させるアディポネクチンは顕著な増加が認められたということなので、血中中性脂肪の燃焼を促進するなど、血液と脂質に良い作用があることが期待できます。

CRP

C-リアクティブ・プロテインの略で、炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するタンパク質。炎症や感染症の指標として診断に用いられる。

IL-6

T細胞やマクロファージ等の細胞により産生されるレクチン。液性免疫を制御するサイトカインのひとつ。炎症・免疫疾患の指標として診断に用いられる。

CRP値やIL6の数値には大きな差異はないとあるものの、今回の研究ではDHAとEPAの作用に違いと、それぞれの優位性を測ることにあるため、中性脂肪、コレステロールの変化においてそれぞれが重要な役割を果たしているということが読み取れます。

結論として、DHAは、血中脂質のような炎症マーカーにおいて、EPAより効果的であることが示された。心血管疾病のリスクに対する長期的なDHAサプリメントの摂取の効果についてはさらなる研究が必要だろう。

このようにまとめているため、まだまだ今後の研究に期待ということになりますが、DHAを優先的に摂るべきなのか、EPAを優先的に摂るべきなのかという目的の違いが明確になることで、サプリメント選びもより有意義なものになっていくと考えています。

まだまだDHA、EPAの研究は過渡期にあるといえますが、それだけ期待されて研究がすすめられている栄養素であることの証です。今後も新しい研究結果には注目してサイトで取り上げていきたいと思います。


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